【超伝導量子回路】LC並列共振器の量子化
超伝導回路の基本的な構成要素であるLC並列共振器を量子的に扱うためにこの計算が必要になります。ここからの説明は解析力学と量子力学,
簡単な電気回路の知識を前提として書いています。
まず、図のようなLC回路を考えることにします。
回路に流れる電流の大きさを、電圧を、キャパシタに蓄えられている電荷を、コイルを貫く磁束をとし、それぞれの素子について以下の式が成り立ちます。
(1)、(2)より、
が得られ、(5)をさらに時間微分すれば、(3)、(4)より、に関する微分方程式が得られます。
ここで、(2)で出てきた磁束は無限の過去でとして、
を満たす物理量です。
また、共振周波数を求めておきます。図1のインピーダンスは、虚数単位、誘導性リアクタンス、容量性リアクタンスをそれぞれとして、
LC並列回路の共振条件はインピーダンスが最大、つまり、の虚部が無限大になる場合なので、以下の方程式をについて解けば、
共振角周波数が得られます。
次に式(6)を満たすラグランジアンを求めます。調和振動子におけるニュートンの運動方程式
と式(6)を比較します。 、、だと思えば、は、
と表すことができます。ここから、の正準共役変数を求めると、
となり、ハミルトニアンは、
となります。後に出てくる生成・消滅演算子の導入で必要になるので上のように式変形をしました。
、として演算子に置き換えると、ハミルトニアンもとなり、
で表されます。また、具体的に演算子、は、
を満たします。次に生成・消滅演算子、を定義する.式(13)の{}の部分をそれぞれ、
とおいて、を計算すると、
となる.両辺にを掛ければ、
よって、LC並列共振回路のハミルトニアンを生成・消滅演算子で式(21)のように表すことができます。
また、式(18), (19)を用いて、もで以下のように書くことができます。
(18) (19)より、
(18) (19)より、
ここから、も
として表すことができます。以上の計算でLC並列共振器の量子化ができました。